ProjectStory#9 コラボレーションに挑む

ProjectStory#9 コラボレーションに挑む

まちを巻き込む

立川レモンプロジェクトは、『立川に名産品を作ってまちを盛り上げよう』という思いのもとスタートしました。(プロジェクトの成り立ちについてはこちら)日本一の産地でありプロジェクトのパートナーでもある広島県呉市とびしま海道のレモン畑を訪れ、商品開発などを進めていますが、どんなに熱心であっても、メンバーだけで取り組んだのでは広がりが生まれません。『まちを盛り上げよう』と考えるとき、欠かせないのは、多くの立川に暮らし、働き、訪れる人にプロジェクトを知ってもらい応援してもらうこと。いい商品を作れたから販売して終わりではなく、そこからが、レモンを“まちのもの”にしていく戦いのはじまりです。

プロジェクトが発足して間も無く、まずは商店街にあるいくつかの飲食店で、立川とびしまレモンを使ったオリジナルメニューの提供を行いました。これは、プロジェクトの発起人が立川市商店街振興組合連合会だからこそ、スピード感を持って展開できた第一歩。その試みは、立川市が発行するフリーマガジン「#Tag magazine(ハッシュタグマガジン)」でもプロジェクトの概要と併せて紹介されました。
そして、プロジェクトをさらにもう一段階先に進めるために選んだコラボレーション先は、立川駅周辺にある商業施設。多摩地域屈指の大規模な施設が集まる立川ならば、プロジェクトへの注目と信頼を集めるには絶対に手を取り合いたい相手です。

IKEA立川に出店したポップアップストアは出入口の前という最高の場所。

駅直結、グランデュオ立川

JR立川駅に直結した商業施設「グランデュオ立川」は、1999年に開業した百貨店。特に駅南口から出入りする人は必ず目にする、立川の顔の一つと言える施設です。そんなグランデュオ立川で、オープン20周年を記念したマルシェが開催されるという情報が聞こえてきたのは、2019年2月のこと。立川レモンプロジェクトの事業推進役である株式会社まちづくり立川が、立川周辺の人気店の総菜や野菜などを集めたマルシェ「20th Anniversary~近所で見つけた素敵なお店~」を引き受けることになりました。

「ブースの一つを立川レモンプロジェクトで出したい!」。その頃のプロジェクトはまだスタートを切ったばかりで、オリジナル商品ばかりかチラシひとつもない状況でしたが、立川を行き交う人と大きな接点を持てる絶好のチャンスを掴まない手はありません。
そこで、まずは、とびしま柑橘倶楽部(とびしま柑橘倶楽部についてはこちら)が製造・販売している「レモンベース」を土台に、その立川バージョンの商品化に着手。パッケージや商品名、PRツールのプロトタイプを製作しました。さらに、販売に先行して立川観光協会の推奨品に申請し、審査を経て認定を獲得。グランデュオのマルシェと並行して、立川のお土産品として昭和記念公園をはじめとする市内各所で販売することができるようになりました。

そうして迎えたグランデュオのマルシェでは、3種類の「立川とびしまレモンベース」をはじめ、とびしま柑橘工房から直で仕入れたジャム、塩レモン、果実などを販売。4月17〜23日の開催7日間で、国産レモンの安心感や美味しさを理由にリピーターとして来店してくださる方が出るなど、初めてのイベントを無事完走しました。
商品が売れること以上の一番の収穫は、店頭やチラシでの情報発信を通して、多くの人にプロジェクトのスタートと取り組みの内容を伝えられたこと。「どうしてレモンなの?」「何のためにしてるの?」そんな率直な声を直接聞き、答えながら、これからのプロジェクトをどんな方向に進めていくべきか、たくさんの課題とヒントを得られたイベントになりました。

立川観光協会推奨品に認定された3種類のレモンベース。
マルシェのために制作したプロジェクトの看板。
TeiPのメンバーが店頭に立って商品を販売。
とびしま海道から届いた採れたてのレモン。

 

都内唯一、IKEA立川

グランデュオでのマルシェ出店と並行して、もう一つのコラボレーションが動き出していました。その相手は、立川駅北口から徒歩12分ほどの場所にある「IKEA立川」。都内では唯一立川にだけ店舗を構える、言わずと知れた北欧スウェーデン発の家具・インテリア雑貨の量販店です。
「立川の企業やお店とコラボレーションをするなら、駄目もとでも一度IKEAにぶつかってみたい」。プロジェクトメンバーにとって、世界的な企業の壁は厚く感じられるものでしたが、だからこそ協働を実現したい相手でした。そこで、別の仕事で面識を持っていたIKEAスタッフの方にコンタクトを取ったところ、企画提案の場を持ってもらえることになりました。

立川レモンプロジェクトの成り立ちやまちを盛り上げたいという目的を伝え、ちょうど4月に迫っていたIKEA立川オープン5周年に併せたポップアップストアの企画を提案。IKEA立川でのレモン関連商品の販売に加え、まちの中での回遊性を高めるため、商店街とのコラボ企画を設定しました。
嬉しいことに、IKEA立川の方の反応はとても前のめりなものでした。というのも、実はIKEAとしても、立川にいる人にIKEAを身近な存在として捉えてもらい、来店やイメージの向上に繋げていくために地域との連携の方法を探していたのです。そうして、IKEAと立川レモンプロジェクトの目的を合体させたコラボレーション企画が生まれました。

目玉企画は、商店街とIKEAを結ぶスタンプラリー。各商店会加盟の飲食店で立川とびしまレモンを使用したオリジナルメニューを提供し、そのメニューを注文するとスタンプを1つ、さらにIKEA立川の立川レモンプロジェクトポップアップストアで商品を購入すると2つ目のスタンプを押すラリー台紙を用意しました。スタンプが2つ揃うと、IEKA1階のビストロでソフトクリームを1個プレゼントという内容です。
商店街の飲食店では、「立川レモネード」(akariバル)、「立川レモンのクリームチーズカナッペ」「フレッシュ立川とびしまレモンサワー」(裏路地ダイニングBrio)、「立川とびしまレモンのドレッシング」「自家製サルシッチャのレモンクリーム」(マザーズオリエンタル)、「立川とびしまレモンケーキ」「立川とびしまレモンシロップソーダ」(カフェcocokara)、「立川とびしまレモンうどん」(香川一福 立川店)、「麹レモンサワー」(BONS)など、期間限定のメニューが出揃いました。

スタンプラリーでもらったIKEAのソフトクリームを楽しむ子供たち。

 

そして、10連休となったゴールデンウィーク、2019年5月4日(土・祝)5日(日・祝)に、家族連れで賑わうIKEA立川のエントランス前で立川レモンプロジェクトのポップアップストアがオープンしました。グランデュオ立川でも並んだレモネードベース、ジャム、レモンを使ったお菓子、立川とびしまレモンの果実を販売。暑くなり始めた気候も手伝い、レモネードの試飲は飛ぶように手に取られていきました。傍らにはIKEA立川が用意したキッチンカーも登場し、IKEAのソーセージに立川とびしまレモンをトッピングしたスペシャルホットドッグが提供されました。

当日は、ポップアップストアに加え、オリンピック正式種目にもなった3人制プロバスケットボールチームTACHIKAWA DICE(立川ダイス)の選手パフォーマンスとキッズチアリーディングチームのイベント、さらに、TeiPで準備を進めていた“新しい農業の形”を目指す別プロジェクトから、多摩地域の野菜などを集めたマルシェもセットで展開。レモンを軸として、立川を盛り上げる一つの形となりました。

カフェcocokaraさんの「立川とびしまレモンクッキー缶」。“TACHIKAWA”の文字が入ったオリジナルのパッケージがかわいい。


Writing/國廣愛佳
Photo/寺島由里佳

TAMA WORK

「自ら燃える人」=自燃人を育てる つばさホールディングス 猪股浩行代表取締役

TAMA WORK

市民参加型のローカルマガジン「セイセキZINE #5」絶賛制作中!

TAMA WORK

インスタで立川市の魅力を発信「#Tag Collection(タグコレ)」入賞作品発表!