半地下、恋に落ちた夜ー-新卒、スナック継がせてください!#1

半地下、恋に落ちた夜ー-新卒、スナック継がせてください!#1

スナックの沼にはまってしまった23歳、坂根千里。国立・一橋大学に通い、思いがけずスナックと出会った彼女が、2022年2月の開業に向けて、迷いながらも奮闘するストーリーです。

プロフィール
坂根千里
3年前、国立で学生が運営する宿「ゲストハウスここたまや」を仲間と始める。その傍ら、すぐ近くのスナックでチーママとしても働く。2022年春に一橋大卒業予定。好きなアイドルは森高千里。

初めまして!スナックにはまってしまいました、坂根と申します。

どうしてスナックに?

きっかけは、ひょんなこと。
国立でゲストハウスをオープンしようと奔走していた頃、厚く協力をいただいている地域の方々に
連れて行っていただいたところが、半地下のスナックでした。

なんとも入りにくい、重そうなドア。『すなっく・せつこ』と緑色に煌々と光るネオン。

「いらっしゃいませ〜」と迎えてくれたのは、おそらくせつこママ。

「なんだか珍しい人が来たわね」

うふふと笑うママはこちらを見ながらも、常連さんの歌う演歌に拍手を送っていました。

じんろ

「これはちょっとすごいところに来てしまったかも…」

自分から行ってみたい!と言ったくせに。

内心戸惑いながら、案内されたカウンターに腰掛けます。
体はカチコチに緊張していましたが、
注文したハイボールを飲み、少しずつその場に馴染んでいきました。

ママからある一言を言われるまでは。

「あなたも何か歌ってみたら? せっかく来たんだからさ!」

え、ここで…?
さっきから流れる曲は、ほとんどわからない。
初めて会った人ばかりの人の中で歌うなんて。

にこにこしながらも、脳内で自分のカラオケリストを必死でめくります。
かろうじてスナック “っぽい“「糸」で、とりあえずこの場を切り抜けよう。

スナックせつこカウンター

う、歌い終わった…

ほっとしたのも束の間、隣にいた常連さんが私に耳打ちをしました。

「自分が楽しく歌えばいいんだ。周りなんて、ほとんど聞いてないんだから!」

そう快活に笑いながら、水割りをグッと飲み干すのです。

店内を見渡すと、
談笑する人、歌う人、静かに飲んでいる人、カラオケ画面をなんとなく見つめている人。
みなさん思い思いに、その場を楽しんでいるよう。
かくいう私は、この場でも、これまでも、周りを気にしてあくせくしていたのです。

ずっと気にしていた「周り」は、そんなに重要じゃなかったんだ。

せつこ壁

ママを中心に編まれる、心地のよい無秩序。
こんな空間が、いつも通る道の半地下に広がっていたなんて。

スナックの洗礼を受けて呆然としている私に、ママはたたみかけます。

「あなた、来週から働いてみない?なんかニコニコして楽しそうだからさ…」
「えええええ!いやいやいや….!」

とっさにそう答えながらも、もっとここに通いたいという好奇心が完全に勝利。
その翌週から、ママの仰せのとおりスナックに立ち始めるのでした。

ママと坂根

スナックとの出会いから3年。不思議なご縁で、今ではそのスナックを新しい形へ継承しようと奔走しています。2022年2月のオープンに向けて、その過程を記録していきたいと思います。

では、また! 11月上旬に、お会いしましょう。

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