一人ひとりを元気にする「地域の森」メディカル・フォレストたちかわ

一人ひとりを元気にする「地域の森」メディカル・フォレストたちかわ

地域に愛される、医療モールをつくりたい

見渡すと広がる青い空と、陽が降り注いできらきらと光る多摩川の水面。手前には緑が生い茂り、目線の先には日野市へとつながる橋が長い弧を描いている。ここだけ時間の流れが少し遅いような錯覚に陥る。

東京都・立川市。喧騒の中人が行き交う立川駅周辺とは異なり、南へ一駅ほど行くと根川緑道や多摩川など自然が溢れるエリア、多摩モノレール「柴崎体育館」駅近くには複合医療施設「メディカル・フォレストたちかわ」がオープンする。

そしてそのすぐ隣には、65年前以上前にこの地で創業した「前田金属工業」が佇んでいる。このまちがまだ何もないころから地域に根ざし、鉄・非鉄金属スクラップリサイクル業を営んできた。そんな中、3代目となる若き代表取締役・前田聡一郎さんはあるきっかけから隣接する広大な土地を購入することに。
「何か地域に恩返しできるような場所にできないか?」
との思いから、どんな施設にしようかと考えを巡らせた末に行き着いた答えは、メディカルモール(医療施設)をつくること。

どうしても金属のスクラップなどを行う工場は、騒音や振動などが気にかかる。しかし近隣の住民への環境配慮を行い、前田金属工業は防音・防塵・防震の対策は行っている企業だ。とはいえ、単なる地域にある一企業ではなく、常にこの地に主体的に関わり、地域の人たちがこの場所に愛着を持ってもらえるようになったらと常日頃考えてきた。
そこで、老人ホームや商業施設などの候補を検討しながらも、病を治し、心を癒し、安心して足を運んでもらえるようなメディカルモールを建てることを前田さんは決意する。
とはいっても、まったく業種の違うことで何をどう始めていいかさえ分からない。そんな中、地元信用金庫の協力を得ながらメディカルモールの建設経験の豊富な大手建設会社と出会い、長い時間をかけて糖尿病内科、脳神経外科、薬局、さらに保育園の施設を誘致することに成功する。

順調にいくと思ったものの、本業の出張も多く、施設建築へ向け動くのは基本的に前田さんひとり。ハウスメーカーは数多い実績から具体的な提案をしてくれるものの、海外の留学経験もある前田さんには譲れないデザインへのこだわりがあり、画一的な建築プランがどうしても気に入らない。刻一刻と時間が過ぎていく中、たまたま地域団体で活動をしていた出版社と医療施設について話すことに。

折しもその出版社も、今までの紙媒体の制作業務の枠を飛び越え、地域のまちづくり会社や信用金庫とともに東京都の創業支援事業「インキュベーションHUB推進プロジェクト」という新規事業に着手したところだった。
それが、このサイトBAAALLマガジンの運営も行うプラットフォーム「TeiP(テイプ)」だ。
そこからはトントン拍子に事が運んでいく。
クリエイターとパートナー(クライアント)を結びつけ、クリエイティブな新しい仕事の形を生み出していく事業を目的とするTeiP。グラフィックデザイナーやWEBデザイナー、建築家などと細かい打ち合わせを経て、こだわりの強い前田さんの感性で惹かれるクリエイターとの仕事が動き出していった。

自然や森をコンセプトとした「医療の森」へ

まずはこの施設のブランディングに向け、コンセプトなどを固めていく。前田さんの嗜好や譲れない点、思い描く持続可能な未来予想図を引き出しながら、「この地をよりよく育てていきたい」という気持ちから、森を育てるように地域の人々とともに育っていけるような医療の森になってほしいとスローガンを

一人ひとりを元気にする「地域の森へ」

と定めることとした。

さらに、施設のネーミングは医療施設であることが伝わりやすく、空間コンセプトである「フォレスト forest(森)」を用いて、この地域(立川)を表現する“medical forest TACHIKAWA—メディカル・フォレストたちかわー”に決定した。

ロゴに関しては、施設のシンボルツリーでもある樹木・ドイツトウヒを真ん中に据えた。

緑であふれ、自然を楽しめる空間に

植栽についても、一級建築士で立川市景観審議会委員でもあるランドスケープデザイナーにジョインしてもらい、シンボルツリーのドイツトウヒがより認識されやすくなるよう、多摩川地域の緑が楽しめる「ナチュラルガーデン」、日本から外国まで薬に関係する植物で構成された「メディカルガーデン」、花や香りも楽しめる「食べられる実」の3つの植栽ゾーニングエリアに。

2019年4月現在、神経外科と薬局はすでにオープン。保育園は5月7日(火)開園、糖尿病内科は6月1日(土)開院に向け、準備が進行中だ。

そして現在は「暮らしと旅」をライフワークのテーマに掲げ、写真とWEBをかけ合わせたWEBディレクター・プロデューサーの手がけたティザーサイトでもその内容をうかがい知ることができる。

http://www.mf-tachikawa.co.jp

TeiPの第一弾の仕事となる、メディカルモールの空間ブランディング。
完成に向け地域に受け入れられる場所を目指し、今も一歩ずつ進んでいるところだ。

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