クリエイターが多摩エリアで活躍していくために、スキルだけではなく“マインド”を磨いていこうという実践的な講座が、デジタルコンテンツ制作専門スクールのデジタルハリウッドSTUDIO立川で2023年1月に開講した、「ローカルワークデザイン講座 in 多摩」です。
地域で働くための実践講座という初の試みで開講され、具体的な授業の内容も明確になっていない状況で「ぜひ受けたい!」と、大きな期待と少しの不安を抱えながら申し込んでくれたのが、Webデザイナーの枝松さん・馬場さんと動画クリエイターの伊東さんでした。
デジタルハリウッドに入学したきっかけ、この講座を受けた感想などを三者三様の視点で伺ってみました。
伊東由晃さんの話
まずは受講生の一人で営業の仕事を経て、現在フリーランスでさまざまな動画の仕事を行っている伊東さんに話を聞きました。
このままでは「何もできないおじさん」になると思った
「そもそもデジタルハリウッドに入ったきっかけと動画を始めた理由としては、コロナ禍の時にこのままではまずい、何もできないおじさんになってしまうと思ったことが大きかったですね。
当時はコロナが未知のウイルスとして猛威を振るっていたので、本当に死んでしまうという危機感がすごかったんです(笑)。何か新しいことをやろうと思った時に、動画の需要が伸びていたので時代のトレンドに乗って動画を制作する仕事を選びました。
自分は福生市が地元なので、多摩エリアでクリエイティブスクールを調べた際にデジタルハリウッドSTUDIO吉祥寺がヒットしたんです。デジタルハリウッドは知らなかったけれど、調べてみたら歴史があって大学・大学院がある・資本が大きいということが分かり信頼度が高かったです。
実際に吉祥寺校に見学に行ってみると、校舎がおしゃれで通ってみたいと思ったことも決め手の一つですね。他のクリエイティブスクールも調べてみましたが、圧倒的にデジタルハリウッドの実績と安心感が優っていると感じました」
―実際に動画を学んでみてどうでしたか?
「ひと言でいうと、とても難しかったですね。学ぶべきソフトが多すぎるし、機能もたくさんありすぎて。
ただ知識を覚えるだけではなく、デザイン力も必要ですし。そしてデザインするだけでなく、企画や課題解決などの背景も同時に考えないといけないのも大変ではありました。でも、やっぱり好きだから続けられましたね」
―ローカルワークの講座を知ったきっかけを教えてください。
「デジタルハリウッドの授業にプラスアルファで学ぶローカルワークの講座というのがあることを知ったのは、フリーランスとしてやっていくために開業届を出したタイミングと同時でした。
どうやって仕事を獲得していくかを考えた時に、営業をやっていた経験があったのでアポ無し営業をやっても効果がないこととそういうやり方が自分に向いていないことは、最初から分かってました。
そこで、キーマンとなる企業とつながることができれば入口が広がるのではないかと考え、どうやってつながるかを悶々と悩んでいた時期にデジタルハリウッドからの案内で「多摩のマーケティング」という講座があることを知って。そのキーワードにこれだ!と思ったんです。僕は一番乗りで申し込みましたね」
―実際受けてみてどうでしたか?
「直感的に自分に合う講座じゃないかと思いましたが、それは間違っていなかったです。
実は、この講座の講師が従来のデジタルハリウッドの講師の方だったら受けていなかったかもしれないです。地域の企業とつながりたかった私にとって、地域の企業であるけやき出版の経営陣の方々が講師だったのも受けた大きな理由でした。
実際にやってみた感想としては、講座の内容自体は正直すごく目新しいわけではなかったけれど、クライアントワークとして企業に直接取材に行ったり撮影できたことが、付加価値としてめちゃくちゃ大きかったですね。
最後にクリエイターズオーディションで臨んだプレゼンも、採用で悩んでいる中小企業が多い多摩エリアの背景を知ったので採用動画を作ったことは自分としては会心の一撃だったと思っています。
そして今、その時の経験がすべて活きていて多摩エリアの企業や行政の動画制作を少しずつ受注できており、仕事に全部つながってますね」
枝松佐百合さんの話
次に、実際にこの講座の最後の授業で開催された「クリエイターズオーディション」で八王子のデザイン会社とマッチングし、無事Webデザイナーとして就職を果たした枝松さんにも伺いました。
多摩エリアでデザインの会社に就職したい思いが強かった
「私も伊東さんと同様、元々新卒で営業の仕事をしていました。
学生時にはグラフィックデザインやプロダクトの勉強をして少しデザインをかじってはいたんですが、営業をやってみたもののやっぱり心のどこかでデザインをやりたいという思いがずっと自分の中で残っていて。
けれども大学時代だけでは知識では足りず、今の時代のノウハウを持っていなかったのでWebデザインの仕事に就いて転職するために、いろいろとスクールを探しました。
デジタルハリウッドに決めた理由は、通いやすい立川にあったから。
当時は営業の仕事で遠くまで通勤していたので、家と近い場所にあることを重視しました。他のスクールなどではオンラインの授業が豊富にあったりもしましたが、自分としてはリアルで対面の方が集中できるし、直接先生にも聞けるので、すぐに悩みが解決されることも良かったです。
スタッフの方と1対1で話した時に、気軽に質問できる環境が魅力的に映りました。
―Web デザインは自分に合っていましたか?
「元々デザインの知識は多少ありましたが、やはりブランクがあったのと私の場合はコーディングが特に苦戦しました。さまざまな知識を得て初めて、自分自身はデザインに特化して仕事をしたいということがやってみて分かりました。
苦労はしましたが、多摩でデザインの会社に就職したい!という気持ちが強かったので、努力を惜しまないで頑張れたんだと思います」
―ローカルワークの授業で魅力に感じた部分は。
「やはり私は多摩でデザイナーとして就職をしたかったというのが、この講座を受ける強い動機でしたね。スタッフの方に転職の相談をしていたところ、情報を教えてもらったんです。
Webデザイナー専攻超実践型就職・転職プランという授業を受けていましたが、この講座のクライアントワークは全然違っていて、本当の企業の現場ってこうなんだ、ということが理解できました。
超実践の時はゼロから制作をするのではなく、素材がありデジタルハリウッド側で準備をしていただいていましたが、このクライアントワークは何もないところからヒアリングをするというスタートでした。Webの素地がないと難しかったと思います」
―今の仕事に役立っていることはありますか?
「今働いている会社では、地元である八王子のお店のHPのデザインなどを担当しています。
お店の経営者など、トップの人たちと直接話す機会が多いですね。決定権があるので話が進むのは早いですが、皆さんお忙しい方が多くレスが来るまでに時間がかかることも多いので、確認をこまめにしないといけないですね。
具体的に講座の内容が活かせているなと感じるのは、話術や聞き方などですね。でも何より、デザイナーとして自分がどうなりたいかに気づけたことはとても大きかったと思います。
つい最近、当時の授業のメモを見返したんです。あの時の自分を振り返ることができ、今現在叶えていること、まだできてないことを再確認できました」
馬場快人さんの話
最後に、つい最近フリーランスになり、まさに個人としてクライアントと交渉する真っ只中で、講座のノウハウを発揮しているという馬場さんからのお話です。
自分の力で解決できるのが「デザイン」だと感じた
「僕は高校を卒業して、進路としては実はインテリアデザイナーになりたかったんです。
ですが就職試験で落ちてしまい、学校の先輩から声をかけてもらって高円寺でデリバリーの仕事をやったりしましたが何となくしっくりこず、自分は何がしたいんだろうと考えていました。
漠然とデザインに関わる仕事がしたいと思ったんですが、いろいろ調べてみても未経験で入れる会社はあまりなかったんです。
デザインが好き、と思った理由としては自分自身が整理されていないものを見るのが嫌いで、これを綺麗にしたい・整えたいという思いを自分で解決できるのがデザインではないかと感じたからです。
その中で学ぶ場所にデジタルハリウッドを選んだ理由としては、大きいスクールとして必ず名前が上がること。ネットで調べてもおすすめスクールランキングに必ず入ってくるんです」
―授業は具体的にどうでしたか?
「最初は上野校に説明会を聞きに行ったんですが、場所が遠かったので自分の家に近い新宿校に入学しました。
基礎的なものはおかげで身についたので、デザインができる会社に入社する目的を叶えるために、そこからどう自分をアピールするかを検討しました。
誰か特定の人にしかできないスキルを自分は持っていないと思い込んでいたので、ソフトを触りながら知らないことがどんどん分かっていくことが、実感として楽しかったですね。
当時はコロナの真っ只中だったので、ほとんどがオンラインで校舎には行けるけれど同じように学ぶ仲間にはなかなか会えなくて。30人くらいのクラスだったかな。
その中でも、ツールとして使っているSlackというコミュニケーションができるソフトでは、6〜7人くらい積極的に発信している人たちがいたので一緒に食事をしたりもしました」
―ローカルワークに申し込んだ決め手は?
「その時、前に働いていた会社で独立を視野に入れていたタイミングだったんです。
大前提として、業務の中で仕事を採る・捕まえるという能力が何も培われていなかったことが自分としては心配でした。そんな時にデジタルハリウッドからのメールでイベントのお誘いが来て、興味が湧きました。無料だったのでとりあえずイベントに参加してみると、実際に企業に勤めていて独立したクリエイターの方の話を聞いて、これが自分に足りないものだと感じたことが本当に自分の心に刺さったんです。
受けた感想としては、本当に実践的だなというところ。話のテクニックなどが具体的で、これが社会なんだと感じました(笑)。
仕事上で話をしていても水面下で相手の意図をどう汲むかなど、深いところまでクリエイターとして企業と対峙する時の実践的なノウハウを知れたことが大きかったです」
―受ける前と今でどう変化がありましたか?
「この講座を受けてなかったら、今現在個人として仕事を取れてなかったと思うんです。
クライアントとの打ち合わせで準備している時に、相手が何を求めているかを深掘りする意識を強く持てています。ヒアリングの重要さ、僕の話し方はまだまだだと課題もありますが手順を授業で学んでいたからこそ、相手への寄り添い方を考えるきっかけをもらえたと思ってます。
聞いた内容を全部身につけられるか不安でしたが、当時書いていたノートを振り返って頭に落とし込んで実際の仕事に活かしてみると、最近新しい仕事が受注できたんです。
その人が何を求めているのかを知ろうとする気持ちを学んだからこそ、相手が欲しいものが理解できました。現場で、第一線で働いている人たちの話を聞けるのはとても重要だと思います。あと、少しでも疑問に思ったことはどんどん聞くことですかね。積極的に聞けば聞くほど有益な情報が手に入る講座だと思うので」
▼基本データ
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