もやもや団地準備委員会#2

もやもや団地準備委員会#2

もやもやしているひと、それがもやぴ。
もやもやしているひと、それは、力を秘めているひとー。
もやもやぴーぷる、もやぴ。

スタジオメガネで未来の団地を考える

前回のもやもや団地準備委員会#1では、委員会メンバーとメンバーそれぞれの「団地と私エピソード」を紹介しました。

第1回もやもや団地準備委員会のメンバーで妄想した「もやもや団地」の完成版イラストが、8月に発売された、情報誌BALL.VOL.3に掲載されていますので、是非手に取ってご覧ください。

今回の記事では、BALL.に掲載しきれなかった当日のフューチャーセッションの様子について、少しご紹介をいたします。

スタジオメガネのある落合団地商店街
スタジオメガネのある落合団地商店街

2021年春、多摩ニュータウンの「団地」に魅了されたもやもやぴーぷる「もやぴ」達が、一人また一人とどこからともなく団地商店街のカフェに集まってきます。ここは、多摩市の多摩センター駅からバスで10分ほどの落合団地商店街。その店舗の一つを建築家横溝淳氏ら「スタジオメガネ」が、カフェにリノベーションしたスペース。今日はここで、団地の未来を考えるフューチャーセッションが行われるのです。

議論のテーマに沿った多様な参加者をアサインして、未来志向で議論するのが、北欧発のイノベーション創出手法のフューチャーセッションの特徴の一つです。今日はイラストレーターやデザイナー、建築家、中小企業診断士やワークショップデザイナーなど団地好きで多彩なメンバーが集まりました。

コレクティブハウスの暮らし方

 

「団地と私エピソード」を踏まえた自己紹介が終わると、特定非営利活動法人コレクティブハウジング社矢田浩明さんから、北欧の集合住宅コレクティブハウスの暮らし方が紹介されます。矢田さんご自身もご家族で多摩市のコレクティブハウス聖蹟にお住まいで、他のハウスのコーディネーターもされています。

コレクティブハウスは、北欧発祥の住まい方で1970年代にスウェーデン・デンマークで生まれ、現在では、北米などを中心に世界中に広まっている暮らし方です。それぞれが独立した専用の住居とみんなで使ういくつかの共用スペースを持ち、生活の一部を共同化する合理的な住まいになっています。居住者は、自分や家族の生活は自立しつつも、血縁にこだわらない広く豊かな人間関係の中で暮らします。

暮らしを通じてフラットにつながって、そのコミュニティをともに育てていくという考え方のもと、ハードだけでなく、居住者組合による暮らしの共同運営などのソフトの仕組みがあります。管理人はおらず、居住者組合が自主管理しています。そうした居住者組合の運営や、暮らしを支援するコーディネーターという役割があるのが特徴です。

具体的に暮らしの中でやっていることは、例えばコモンミールと呼ばれる共同の食事運営、菜園やガーデニング、掃除やメンテナンスも自分達でやります。そして何かルールを決めたり意思決定をする時は、話し合いで決定します。多数決では決めません。内容によっては、子どもたちの意見を聞くこともあります。

コレクティブハウスの運営の特徴
コレクティブハウスの運営の特徴

コレクティブハウス運営の仕組みのポイント
居住者組合を結成し、居住者が責任を持って運営や管理をする。
• 自分たちで、暮らしの共同と仕組みの運営を行う。
• フラットにつながる。上下関係をつくらない。
• 共同するのは暮らしのこと。趣味でも仕事でもない。
• 世帯単位でなく、個人が単位。
• みんなそれぞれ違う人。年齢や性別、障がいのあるなしなどで区切ることには基本的に意味がない。
• 一人一人の意見を大切に、きちんと向き合って話し合う。
• 好き嫌いとは別の基準での信頼関係が醸成されていく。
• 大人も子どもも他者との関係の中で育っていく。

矢田さんのお話は、未来の団地を考える上で、間取りや設備等のハード面だけでなく、そこに住む人たちがどんなコミュニティをつくっていくのか、参加者の意識を変えるきっかけをいただけました。

もやもや団地の妄想が止まらない

その後、3人1組のグループに分かれて「10年後の団地はどうなっていると思う?」「こんな団地はイヤダ!」「団地の魅力」「こっそり教える私の団地萌えポイント」について、グループごとにそれぞれの意見を持ち寄ります。グループごとにイメージ合わせができたら、それらを詰め込んだ理想の団地「もやもや団地」について、参加者全員で妄想を膨らませます。

もやもや団地準備委員会フューチャーセッションの様子
もやもや団地準備委員会フューチャーセッションの様子

団地の1フロアの壁をぶち抜いて、フラットで巨大なスペースを作り、1階はカフェや商店、シェアキッチン、2階はアートギャラリー、3階はアトリエ、シェア工房、4階はコワーキングスペースにする。地下では、楽器が演奏できる防音室や、子ども達が基地にできる部屋や忍者屋敷の様なからくり部屋もある。団地を1棟全部、土の中に埋めてしまって、丘にし、その上に森や公園、キャンプ場、畑などがある。壁だけでなく天井もぶち抜いて、1棟丸ごと武道館の様な大きな空間にしたいなんてアイディアも。

図書館や使わなくなったおもちゃや洋服、本など色々な道具を置いておき、ご自由にお使い下さいという倉庫スペース。「これあげます」情報を共有する掲示板。本や傘の貸し借りが気軽にできる棚や傘立て。みんな喜ぶ、おかずをシェアできるスペース。

棟と棟の間は、スキー場のリフトみたいな乗り物で移動ができ、他にもゴーカートや人力車、馬車などで団地内は移動が簡単かつ楽しい。バルコニーにはドローン発着場があり、伝書鳩の様にドローンが荷物を置いて行ってくれる。寮母さんの様なコンシェルジュがいて、団地に住んでいる修繕や法律相談など色んな分野の専門家を紹介してくれる。支払いは団地内通貨で。

夏祭り、借り物競争、逃走中、文化祭、団地全体を使った流しそうめん、団地の壁を使った映画上映などイベントもさかんに行われている。仲良くなれる仕掛けとして、入居「同期」を作るため、居住者全員を一定期間で入替性にする等などなど。夢のある妄想アイディアがたくさん生まれました。

タムラヒロユキ氏によるもやもや団地イラストパーツ

さてさて、こんなに散らばってしまったアイディアを、委員会メンバーのタムラヒロユキさんが1枚のイラストにまとめてくれました。どんな団地が出来上がるのでしょうか?完成版は是非、BALL.vol.3でご覧ください!

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