もやぴのぼうけん#5

もやぴのぼうけん#5

もやもやしているひと、それがもやぴ。
もやもやしているひと、それは、力を秘めているひとー。
もやもやぴーぷる、もやぴ。

もんちゃんのお絵描き教室

自己紹介のプログラムが終わり、参加者のみんながこの会場を自分の居心地の良い場所だと認識し終えたら、いよいよ今回のメインプログラムの一つ、もんちゃんによる「自分のルーツを紐解く大人の線画教室」がスタートしました。

このプログラムは、プロの線画家からレクチャーを受けて絵を描きながら、幼少期に大切にしていたことを思い出してみるというプログラムです。ワークショップでは、こうした手を動かしたりすることを通じて、直接的ではない何かを学んだり気づいたりする(今回で言えば単に絵を描くのを習うのではなく、絵を描くことを通じて幼少期を思い出す)ようにプログラムを組みます。

自己紹介するもんでん先生
自己紹介するもんでん先生

もんでんゆうこ先生は訪問看護師をしながら線画家として活動しており、広報たまちいきの扉絵も担当しており、多摩地域にお住まいの方であれば一度はその作品を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

1971年長崎生まれ。国立療養所刀根山病院付属看護学校を卒業して看護師に。2005年、 朝日カルチャー新宿「永沢まことスケッチ特別講座」を受講したことがきっかけで、線画家の道へ。様々な広報誌などで連載を手がける一方、 保育園やカルチャー教室で絵画講師をしています。

「なんにも続かなかった自分が、絵を描くことだけはやめなかった。それだけ絵を描くことが好きだったのかな。今日参加してくれたみんなにも、少しでも絵を描く楽しさを知って欲しい。」そう自己紹介したもんちゃんは、バッグからボロボロとまだ青くて固そうな柿をいくつも取り出してテーブルの上に置きました。

「今日は絵を描きながら、自分の幼少期に大切にしていたことを思い出すというテーマだけど、漠然と昔のことを思い出しながら絵を描くって、逆に結構難しいものなのよ。何かモチーフがあった方が良いと思って。それで今日は近所の人のお庭から柿をもらってきました。ちゃんと許可をもらって採ってきたから安心してね。」とお茶目なもんちゃんです。

お絵描き教室のテキスト
お絵描き教室のテキスト

「私の恩師の永澤先生が言うには、絵を描くことは「個人」の意識、感覚を磨くことで、技術を磨くことではないの。たくさん描いていくうちに技術は自然に上達していく。大切なのはまずモチーフをじっくり自分の五感を使って観察して、形や仕組み、色や影なんかがどうなっているのかを把握すること。それで自分の中にモチーフのイメージがしっかりできたら、思い切って最初からえいって線を描いていく。モジモジ描いちゃダメよ。最初が肝心なの。」

そして、今日は小学生の頃の自分に絵手紙を書きます。便箋に柿の絵を描いて、横に小学生の頃の自分に今の自分から伝えたいメッセージを添えます。

これは、もんちゃんが訪問看護の仕事で訪れた利用者さんが、ご高齢で徐々に進行する病気もあり気力をなくされていたので、動物園で描いた動物の絵にメッセージを添えて絵手紙をお渡しすることを続けていたところ、動物から力をもらってだんだん元気になり、心を開いて接してくれるようになったという経験から、この絵手紙を描いてみるというアイディアが生まれました。文字だけのお手紙よりも、何気ない絵が描かれていることで、文章が脇役になりすっと相手の心に入っていってくれるのかもしれないですね。

モチーフの青柿

「幼少期に自分が大切にしていたものを思い出す」ことを意識して、どんな言葉を添えたら、あの頃の自分に届くかな?あの頃自分はどんなことを考えて、どんなことをしていた子供だったかな?あの頃の自分が今の自分を見たらどう思うのかな?そんなことを考えながら、モチーフの柿を眺め、手に取り、観察して、匂いを嗅いで、形を感じて線を描き、色を塗り、影を描いて、紙の上に青柿を落としていきました。そこに小学生の自分に届いて欲しいと、思いを込めて文字を添えました。

手紙を描き終えたら、それぞれどんなメッセージを伝えたいのかお互いに発表をしました。みんな小学生時代はどんな子供だったのか、大きくなって幻滅したこと、思っていた通りにできたこと、できなかったこと、これまで自分が何を大切にして生きてきたのか、少しの発表の時間でしたけど、一人一人の半生が垣間見え、素敵な人達だなあと、ほんわか暖かくなるような、そんな時間が流れました。

tea time

集中して手を動かしたり、話したり、聞いたりして少し疲れてきたところで、吉川先生の終末期医療の深〜いお話に入る前に、少しの間みんなでtea timeにしました。

今回はもやぴの記念すべき初めてのイベントで、もやぴメンバーみんなでどうしたら少しでも参加してくれた人が豊かな時間を感じてもらえるかを、じっくり考えて準備してきました。当日のBGMやtea timeで出すチャイやお茶菓子、食器も家から持ってきました。こういう贅沢な空間・時間作りはまーちゃんの担当です。

みんなが絵手紙の発表をしている間に、まーちゃんが隣の控室で牛乳を温めてチャイを作っていて、みんながいる部屋にもシナモンの香りが漂ってきてとても気になっていました。そわそわした気持ちで待っていたところに、CAFE LOCALさんから持ってきてもらったケーキと一緒にチャイが登場し、にわかに歓声が上がりました。

みんなでチャイとケーキを食べながら、小学生の頃のピュアな気持ちのままに、お互いに描いた絵手紙について感想を交換したり、あの頃はこうだったよねえと思い出話に花を咲かせました。

お茶とお茶菓子について説明するまーちゃん
お茶とお茶菓子について説明するまーちゃん

次回は初回イベントのクライマックス、吉川先生の終末期医療のお話です。お楽しみに!

もやもや ララバイ。

もやもやは創造の種である

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