レモン図鑑#2  日本で育つレモンの木

レモン図鑑#2 日本で育つレモンの木

 

日本国内で1年間に出荷されるレモンのうち、国産はわずか約1割。その他は、アメリカやチリなど海外から届く輸入品です。ということは、飲食店のメニューやお菓子などで毎日のように味わっているレモンも、実はほとんどが輸入品かもしれません。とても貴重な国産レモン、その畑はどこにあるのでしょう。

「レモンと言えば広島!」の収穫量とブランドづくり

平成28年の調査によると、国内のレモン収穫量の半数以上を占めるのは広島県。日本一の地位は、長年に渡り揺るぎなく守られています。その背景にあるのは、行政やJAなどの組織が一体となって、担い手の規模拡大、新規就農者の確保・育成、生産基盤の整備などに取り組み、生産体制の構築を図り、農家さんを応援していること。

そして、もう一つ忘れてはいけないのが、ブランディングやPRなど認知度を高めるための取り組みです。広島といえば、広島カープ、もみじ饅頭、お好み焼き、宮島…と有名なものは数ありますが、“広島レモン”ももう聞き馴染みのある言葉の一つになっているのではないでしょうか。地域団体商標として登録されている「広島レモン」「大長レモン」をはじめとする地域ブランドを確立し、多様な事業者によって企画開発が行われています。都内のアンテナショップを訪れても、食べ物から雑貨までレモン商品が所狭しと集まっています。

柚子先輩に追いつけ追い越せ

国内でレモンが育てられている畑の面積は、488.4ヘクタール(農林水産省平成28年産特産果樹生産動態等調査より)。東京ドームおよそ100個分です。ちなみに収穫量日本一の広島県は、そのうち約半分の226.8ヘクタール。そう聞くとなんだか広く思えますが、同じ柑橘類でも果実として食べるイメージのない柚子を見てみると、2,186.8ヘクタールと約4倍。柚子は消費・生産ともに日本が世界一と言われていて、食文化に国産柚子がしっかりと根付いているのです。

レモン自体は日本の生活にすっかり浸透していますが、海外からやってきた果実を日本で育て、文化と一緒に育んでいくという意味では、実はまだまだ道の途中なのです。

現在の産地は、広島をはじめ愛媛や和歌山など温暖な西日本が中心ですが、東京でも、近所のホームセンターや住宅街の庭を覗いてみると、意外にもレモンの木を見かけることが度々あります。IoTなどの最新技術も使いながらチャレンジすれば、東京に広大なレモン畑が誕生して、レモンの香りの風を楽しめる日は遠くないかも!?

Member:國廣
Illustration/白木春菜

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