情報誌『BALL.(ボール)』やウェブマガでも度々紹介をしてきた武蔵境駅すぐにある“スーパー”マイクロブリュワリー「26K Brewery(ニーロクケー ブルワリー)」。
昨年末に行われた「東京多摩島しょ 地域交流ワーケーション体験ツアー」に参加した26K Brewery(運営会社:株式会社スイベルアンドノット)が、新島と式根島を訪れたことがきっかけで多摩と島しょの交流が始まり、島の特産品を使ったビールを醸造することになったということで、早速取材に伺いました!

●東京多摩島しょ 地域交流ワーケーション体験ツアーとは?
企業と地域の継続的な関係構築につなげるため、コワーキング施設等での業務やミーティング、住民や地域企業との交流等を行うワーケーション体験ツアーを実施している東京都の事業。
※ワーケーションとは ― Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語。テレワーク等を活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすこと。
https://tokyo-tamashima-iju-fair-tour.metro.tokyo.lg.jp/
式根島クラフトビールは、あめりか芋・島とうがらし・レモングラスの3種類
東京多摩島しょ 地域交流ワーケーション体験ツアーでは「2島1村のプロモーション戦略」について話し合われ、26K Breweryが提案したのは、もちろんクラフトビールの製造。適した食材をいろいろ話し合った結果、新島村の特産品である「あめりか芋」、式根島で栽培されている「島とうがらし」と「レモングラス」の3つを用いた3種類のクラフトビール製造が決定しました。


●あめりか芋とは?
新島村の家庭で自分たちが食べるためだけに栽培されてきた白いサツマイモ。島外で販売されることはほとんどなく、砂で覆われていることで稲作に向かない新島村では貴重な食料源として食されてきた。
https://www.niijima.com/facility/community/farm/imo/
取材に伺った時に仕込んでいたのは「島とうがらし」を使用したクラフトビール。暑い気候で育つ唐辛子は通常の唐辛子よりも辛く、少量でも危険を感じる刺激!式根島では粉砕して一味唐辛子として製品化をしたり、家庭では熟す前の青い段階で収穫をして乾燥させずに生のまま刻み、ワサビの代わりにお刺身と一緒に食べることが多いのだとか。普段見慣れている唐辛子よりも小さいのに刺激的な辛さなのには驚き!
26K Breweryのヘッドブルワー(醸造責任者)の栗山さん曰く「細かくしすぎると辛くなりすぎてパンチが強くなりすぎてしまうので、荒刻みにして少量ずつ適した量を探っていく」とのこと。
唐辛子をイメージした赤色のビールに仕上げるとのことで、その様子を見学させていただきました。
小さな醸造所で人の手で仕込まれる式根島クラフトビール
「島とうがらし」のビールに使う麦芽(モルト)は5種類。多くのビール醸造に用いられるペールモルトをベースに、ペースモルトを焙煎したほんのり色味が付くカラメルモルトや黒ビールを造る際に使われるローストモルトなどを混ぜ合わせて仕込んでいきます。



麦芽の攪拌作業に少しだけ参加させていただいたところ…お湯を吸った麦芽のあまりの重さに木べらが思うように動きませんでした!ということで、早々に木べら、お返しします!(笑)

温度を保ちながら攪拌する作業は麦芽が持つ酵素の働きを促し、麦芽のデンプンを「糖」へと変える「糖化」が行われ、ビールの味を決める大切な工程。そして混ぜ終わった後に不純物を取り除いたものが麦汁(ばくじゅう)となり、そこにホップを投入することで苦味と香りが加わり、私たちがよく口にするビールへとなっていきます。


26K Breweryで醸造されるビールは、ここから約1週間の発酵期間を経て約2週間後に樽詰めをし、低温管理で熟成させて味を安定させてから初めて完成するとのこと。
今回醸造した「式根島ビール」は、これからラベルデザインやネーミング、販路など、まだまだ決めることが盛りだくさん!とのことで、お披露目は5月の大型連休付近を予定しているそうです。
まずは式根島の4店舗の酒取扱店で販売して飲食店で飲めるようにしていくそうなので、ビールを求めて式根島へ、島観光へ出かけてみるのはいかがでしょうか。
26K Brewery
東京都武蔵野市境南町3-2-13/9:00~21:00(土・日・祝日10:00~21:00)/水曜休/0422-38-5500
新島・式根島
調布飛行場から新島まで飛行機で約30分、新島から式根島まで連絡船で約15分