ちょっと変わった物件を探すサイトの代表格、東京R不動産。
今すぐ引っ越す予定がなくても、定期的にチェックすることが楽しみになっている人も多いはず。
コロナ禍前から、郊外集中期間を設けて多摩エリアの物件をたくさん紹介するなど、都心から郊外にエリアを広げて物件紹介を始めています。
郊外のポテンシャルを誰よりも感じていると自負するBALL.編集部は、そんな東京R不動産の皆さんに、「郊外の魅力って何だと思いますか?」と聞きたくてしょうがない…!
そこで、『BALL.』VOL.4では、特集「たまに泊まる。たまに住む。」の企画として、念願の対談をさせていただきました。
WEB MAGAZINEでは、誌面に載せきれなかった話を交えながら、その様子の一部をお届けします。
郊外物件は“外”も強い
東京R不動産に掲載されている物件紹介は、メンバーの皆さんによる担当制。
それぞれが週に3軒は新しい物件を見に行って、ピン! と来たところだけを取り上げているそう。
都心より地価の下がる郊外では、アトリエをつけたり庭を広めにつくったり、理想の家を建てやすいことが大きなメリットです。ただ、それだけではない魅力だと全会一致で感じているポイントこそ、真の“郊外らしさ”かもしれません。例えば、東京R不動産の千葉敬介さんが好きなのは「高低差がある物件」(!)。
「すべての条件が完璧な物件ではなく、一番好きなところが突き抜けた物件が面白いと思うんです。僕自身で言うと、家の中には何も求めていなくて、窓の外がどうなっているかしか考えてなくて(笑)『ここに住めるなら、家自体は完璧じゃなくても良いな』という選び方もあるんじゃないかなと」
都心の物件は建物の“中”勝負になりがちですが、郊外では、周りの環境やまちを含めて好きになれる楽しさが大きいように感じます。
「うちのサイトもきっかけでしかないと思っていて、内覧して初めて自分に合う物件かわかる。まちにはいろいろな要素があって、五感で感じないと好きか決められないですよね。特徴を発見して、知って馴染んでいく過程を楽しむのも、郊外ならではの面白さだなと思います」
そう話すのは、古ビル好きの森田千優さん。同じ2019年新卒入社の山岸奏乃花さんも、郊外に暮らす実体験の中で思ったことがあると言います。「人って、3つ共通点があれば親友になれるという話がありますよね。それと同じで、まちに特徴が3つあれば、住んでいる人はそれを共有しているので、自然と仲良くなれるんじゃないかなと思っています」
つながり加減がちょうどいい
東京R不動産の皆さんが内覧などで多摩エリアを訪れるようになって、「ちょうどいい」と感じているのが、同じまちに暮らす人との接点の“加減”。山岸さんは郊外にある人との距離感が良いと話します。
「コロナで声を交わす人がいなくて窮屈だったり、自分と外をつなぐものがないと実感する人は、若い世代にも増えていると思います。とはいえコミュニティに入りたいわけではなく、お肉屋さんでいらっしゃいと声をかけてもらうくらいが心地よい。商店街ってセーフティーネットの機能を持っているとよく言われますが、一人暮らしに限らず、顔のわかる関係性は安心につながりますよね」
東京R不動産では、「郊外暮らしラボ」と題して、さまざまなプロジェクトを進行中。
2022年の初夏には、東村山市の相羽建設とコラボレーションした賃貸住宅が誕生する予定です。
「住みたいと思う賃貸をつくるのは、実は結構難しいんです。郊外だと家賃が下がる分、回収できる金額が都心より低くなって良いものがつくりにくい。オーナーや工務店さんなどは、物件を供給するだけではなく目線を変えていかないとと感じています」
同期の2人が、秋津の暮らしを体験!
企画後半では、山岸さんと森田さんが東村山市秋津にある相羽建設の「i -works モデルハウス」で体験した1日限定の郊外暮らしをレポートします。
事前にGoogleマップで目星をつけてきた気になるお店を巡りながら、「あのマンション気になる」「看板かわいいなぁ」「野菜の無人販売機がある! 」とすかさず撮影。どこへ行っても、店主との何気ない会話が盛り上がっていました。
「図書喫茶カンタカ」では、「働く場所としてもすごく良いな」とのんびりとした時間を過ごした2人。毎日目にすることになる風景、聞こえてくる音、流れる空気、買い物をするお店、出会う人など、「このまちに住む」という目線で歩くと、自分にとって大切な条件が見えてきます。
情報誌『BALL.』VOL.04 「たまに泊まる。たまに住む。」の発売は、いよいよ12月20日(月)!ぜひお手元でご覧ください。
Text: Aika Kunihiro
Photo: Jouji Suzuki