“縁を醸す”酒蔵、東村山の豊島屋酒造が拓く新時代

“縁を醸す”酒蔵、東村山の豊島屋酒造が拓く新時代

酒蔵を照らすミラーボール、日本酒片手に盛り上げるDJ。この場所は、1596年(慶長元年)に神田で創業し、1935年(昭和10)より東村山市に醸造元として設立された豊島屋酒造。

代表的な銘柄「金婚」は、明治神宮や神田明神の御神酒として納められている由緒ある酒蔵です。

DJイベントを企画したのは、4代目蔵元の田中孝治さん。田中さんが考える「新しい時代の酒蔵像」とは。紙面でご紹介しきれなかったこぼれ話をお届けします。

 

行列ができる「豊島屋フェスタ」

豊島屋酒造では、地元の人やファンに新酒を楽しんでもらおうと、20年以上前から「蔵開き」を行ってきました。それを進化させたのが「豊島屋フェスタ」。日本酒をふるまうだけでなく、杜氏たちの楽器演奏、移動映画館、落語、屋台と、その名の通り大賑わいの1日です。コロナ禍前の開催では、チケット1,500枚が完売。徒歩15分ほどの距離にある東村山駅から蔵への大行列ができていました。

普段は、酒造りにあたる“蔵人(くらびと)”しか立ち入ることができない酒蔵。一般に向けて開放する理由を、田中さんはこう語ります。

「日本酒に興味がない方や飲まず嫌いの方でも、これなら遊びに来ていただけるんじゃないかなと思って。小学校の地域探検も受け入れさせていただいていて、子どもたちが大人になった時、『住んでる街に日本酒の酒蔵があるんだぞ』と思い出してもらえたらすごくうれしい。醸造に興味を持ってくれる子がいるともっとうれしいですね(笑) そうしたイベントで酒蔵が身近な存在になるといいなと思っています」

4代目蔵元の田中孝治さん。醸造の過酷さを知っているからこそ、家業とは違う道へ進もうとした時期もある。

酵母との共同作業

日本酒の80%は水。ビールのようにphを調整せず、自然そのまま使うのが特徴とされています。蒸米、麹、水、酵母からなる「酒母(酛)」を、数週間かけて発酵させた「もろみ」。これが25~30日かけて日本酒に変わっていきます。発酵の要となる麹は、蔵元である田中さんと製造部の6人しか入れない特別な部屋でつくられるそう。

「酵母は微生物なので、計算した通り、寸分の狂いなく進むことはまずありません。けれど、『酵母の機嫌が悪かったから日本酒の味が変わりました』という言い訳はできない。その難しさが面白いんです」

昭和から続く手作業がある一方、工程によっては機械を導入した方がムラがなくなり味の向上につながる。
地下水を溜めるタンク。蔵のあちこちから培われてきた歴史を感じる。

紙面では、家業を継ぐ決心と新銘柄「屋守(おくのかみ)」開発のストーリー、醸造を担う蔵人たちのチーム構成、そして、東京の酒蔵として企てるこれからについてお話をお聞きしています。ぜひ、お手元でご覧ください。

Text:Aika Kunihiro
Photo:Jouji Suzuki

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『BALL.』VOL.05 「発酵のしごと」の発売日は、いよいよ11月15日(火)!

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●『BALL.』VOL.5発売記念イベント詳細
⽇時:2022年11⽉26⽇(⼟)14:00〜20:00
場所:BALL.HUB たちかわ(⽴川市柴崎町3-9-2コトリンク3F)
内容:酒蔵による⾓打ちとワインのテイスティングイベント・多摩の想いと体験が買える「BALL.DEPARTMENT」で販売する商品の展⽰
定員:20名(出入り自由/状況によっては人数制限させていただく場合ございます)
料⾦:⼊場無料(各種チケット販売有り・当⽇現⾦決済も可能)
日本酒、ワイン1杯500円
https://ball05open.peatix.com
参加企業:豊島屋酒造、八王子酒づくりプロジェクト、ルモアン東京、藍染工房 瑠璃玉、えむすびほか(敬称略)

●豊島屋酒造
東村山市久米川町3丁目14−10
酒蔵見学 毎週土曜 午前11時~12時(予約不要)
http://toshimayasyuzou.co.jp/

 

 

 

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