今号より特集が3本になってパワーアップした『BALL.』。
第2特集は「はずむように暮らす」をテーマに、多摩エリア30市町村の中から毎号一都市をピックアップし、スタッフの多摩愛&偏愛を込めてお届けしていきます。
初回VOL.8は編集部がある立川市。担当したのは生粋の多摩っ子であるオザキと、年間約300軒の飲食店(主に酒場)を新規開拓するタムラ。
第2特集をどのような切り口にするのか?どんな見せ方にするのか?企画会議は一歩進んで二歩下がる、時に難産だけど結局ふと何気なく発言したアイデアが1番良かったのでは!? なんて話を重ねてブラッシュアップしていくのが編集の仕事で一番楽しいかもしれない…。
そんな企画会議を経て今回タムラが取材したかった店のひとつがここ、アメリカンビレッジにある飲食店「MOON HOUSE」。
アメリカンビレッジといえば沖縄?多摩エリアでアメリカン気分を味わうなら横田基地隣接の福生市では?なんて思われるかもしれないですが、いずれの都市も今や観光地。でも立川市には観光地としての“アメリカ空間”ではなく歴史の中で今も残る生活空間と、それらが醸し出す異国らしさを感じられるアメリカンビレッジがあるのです。
生活する方々のエリアなので、なかなか訪れる機会は少ないかもしれませんが、そんな中「MOON HOUSE」は誰もが気軽に訪れることができる入口。店内に身を置けば一気にアメリカ気分!
酒場の他にも旅や異国文化が感じられる場所も大好物なタムラ。もちろんアメリカンビレッジにも興味津々!どんな場所なのか?どうすれば借りられるのか?以前、賃貸情報がないかインターネットで検索をしたことがあるのですが情報は全然ヒットせず…(涙)。ということで住んでいる方にぜひ一度お話を聞いてみたかったのです。
久我さんに話を聞くと、アメリカンビレッジの賃貸情報は年に1回くらいしかオープンにならず、また60年前後経っている建物はどんどん老朽化しているため、次々と建て替えられて分譲住宅・建売で出ている区画もあるのだとか…。以前はここに住んでいた久我さんでしたが、コロナ禍で店を改装したところ(席と席の間隔を広く取るようにリニューアル)ご自身が生活するスペースが無くなってしまい今は店のみで営業しています。
建物には断熱材が一切入っていないので冷暖房などの光熱費が嵩んで大変なようですが「MOON HOUSE」も「僕が出て行ったら多分建て替えられてしまうでしょうね…(久我さん)」とのこと。やだやだ!いつまでもこの雰囲気を残してほしい!またお店に行きますー!
そして「MOON HOUSE」のもうひとつの特徴が料理。アメリカンビレッジにあるなら、ここで食べられる料理はジャンクなアメリカフード?と思いきや、久我さんの両親が北海道出身ということもあり北海道ならではの食材を使ったオリジナル北海道料理も提供しています。例えば、北海道のブランド豚肉「神威豚」のロースかつをのせた「究極のスパカツ」や北海道厚岸産の大アサリを使ったワイン蒸しなど…どれも素材にこだわっています。また、一方でアメリカらしく、ステーキ用のブラックアンガス牛を極粗挽きにしたハンバーグなど、なんでもある“ごちゃまぜ感”がアメリカらしくも立川らしくもあるなぁというラインナップ。
そしてすべての料理は添加物をなるべく使わず作られ、ソースやドレッシングもすべて手作りの“身体に優しいジャンクフード”を目指しているとのこと。これには、久我さんがウクライナ・チェルノブイリを訪れて原子力発電所事故の被害を目の当たりにしたり、東日本大震災が起きたことが影響し「ちゃんとした素材で身体に良いものを作ろう」と思ったことがきっかけだそうです。
こうして一見では分からない魅力を引き出し、まちをより楽しむための情報をお届けする『BALL.』第2特集。これからもそのまちを知っている人にも「面白い!」と思ってもらえるようにつくっていきますので、ぜひ誌面を参考に魅力ある多摩エリアを楽しんでください!
3月末時点で104軒だったタムラの2024年新規開拓、本日時点では161軒に増えました◎
BALL.VOL.8 特集「場のしごと」