超えたい父、なりたい母ー新卒、スナック継がせてください! #4

超えたい父、なりたい母ー新卒、スナック継がせてください! #4

スナックの沼にはまってしまった女子大生、坂根千里。国立・一橋大学に通い、思いがけずスナックと出会った彼女が、2022年2月の開業に向けて、迷いながらも奮闘するストーリーです。

プロフィール
坂根千里
一橋大学社会学部4年。3年前、国立で学生が運営する宿「ゲストハウスここたまや」を仲間とはじめる。傍ら、すぐ近くのスナックでチーママとしても働く。好きなアイドルは森高千里。

こんにちは。スナックの沼にハマってしまいました、坂根と申します。

「新卒でスナックを継ぐだなんて、親がよく了承してくれたものだ!
そうお思いになるのも、無理はありません。実際に、親は大反対。
今回は、そんな親との攻防に関して書かせてください。

私と父親。私と母親。

そもそも自分がローカルの仕事に興味を持ったのは、「父への憧れと反発」でした。

父は、海外赴任の多い仕事。
赴任に合わせて、幼少期は米英に1年ずつ、小学生の時はインドネシアに3年間住んでいました。

幼少期坂根
アメリカの幼稚園に通っていた頃

仕事に触れる機会が多く、「父の仕事以上にかっこいい仕事はあるのか?」と思っていたほど。
しかし、進路を決めるときに、逆に父の仕事しか知らない視野の狭さに気付きます。
父の知らないものを知りたいという反発心と好奇心。
グローバルではなく、ローカルの仕事に関わりたいと思うようになった最初のきっかけでした。

母は、医療関係の資格を持ち、家族で日本に帰国した際は資格を生かした仕事に就くなど、柔軟に働いていました。
昔から家で母と話す時間が多く、こんな挑戦をしたいという曖昧な段階でも話を聞いてくれました。
母は「いいんじゃない?」と干渉しすぎないよう接してくれていました。

2020年夏:「スナックの魅力を直接体験してほしい!」

ママがスナックを引退しようかな…なんて頭出しをしてきた頃。
私はスナックの承継をなんとなく意識し始めます。

それまで、両親は私がスナックで働いていることを知っているものの、不思議な気持ちで捉えてました。
「これは、なんとなくまずい気がする…」
スナックの魅力を伝えるには、実際に体験してもらうのが一番。

当時コロナで遠出できないことも味方につけ、家族全員で一泊二日の国立ツアーを行いました。
もちろん裏テーマはスナックへの誘導。
素敵なママがいて、そこにはいい常連さんがついていると理解してくれたのしょうか。
父は「なみだの操」を歌って、陽気に店を出ました。
スナックの偏見を払拭するというミッションは達成。
とはいえ、この時点でまさか娘がこの場を継ぐと言い出すなんて、夢にも思っていなかったでしょう。

2020年秋冬:初めてのプレゼン

スナックを継ぎたいという気持ちが日毎に膨らむものの、
就職の選択肢も捨てきれず、悶々と日々を過ごしていました。

その時、年始には父親が単身でアフリカに赴任することが決まります。
父が日本を離れる前に、自分の口から両親に進路を伝えたい。

スナックの窓

出国前に合わせてプレゼンをしました。
しかし結果は…完敗。
それもそのはず、何故スナックをやりたいかばかりを熱量120%で伝え、
事業計画の中身がすっからかんだったのです。
父からの質問に、何も答えられず半ベソ状態。しかるべき結果でした。
またブラッシュアップさせて、プレゼン待ってるよ。
納得いかない顔を見せつつも、父はそう告げ、アフリカへ行ってしまいました。

2021年春夏:説得に向けて

このプレゼンがきっかけで、スナックへの決意が加速しました。
親から指摘された点は、まさに自分が目を背けていた懸念点。
親からの質問に答えられるようになることは、自分の不安解消にも繋がる。
何を決めていくべきなのかが明確になり、だんだんと意識が切り替わっていきます。

それから半年間、商工会等への相談や、副収入の道を模索し、
事業計画も銀行へ持っていけるように準備を進めました。
その間も、父とはZoomで事業計画の進行状況を報告するなどしていました。

2021年秋:2回目のプレゼン

納得いくものができたところで、Zoomで再びプレゼン。
最初のプレゼンから8ヶ月が経っていました。

父親へプレゼン

まだまだツッコミどころはあるけど、挑戦してみれば?
質疑応答含め1時間の事業プレゼンは無事成功に終わりました。

超えたい父、なりたい母

親から理解を得ることは本当はどっちでもいいかもしれない。
ただ私にとって、すぐ近くの人が応援してくれることが、自分の背中を押してくれています。
また、親の説得が「人に事業を説明する」第一関門となりました。

プレゼンの時に、いつも父親は「将来どういう姿になりたいのか?」と私に問いかけます。
そのなりたい姿には、やりたいことに真っ直ぐな父親の姿、包容力のある母親の姿が強く影響していることは、いうまでもありません。

***

ではまた、12月下旬にお会いしましょう!

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