けやきストーリーズNo.06 白木の挑戦──私が好きだったこと

けやきストーリーズNo.06 白木の挑戦──私が好きだったこと

けやき出版のインターン生 杉井が、一人ひとりのけやき社員が持つストーリーにせまる連載。フリーランスのデザイナーでありながら、けやき出版の大切な一員でもある白木 春菜。好きだったデザインを仕事をするために、さまざまな挑戦を続けてきました。

「とにかく働きたかった」オタク少女が母親になるまで

▲立川市のフリーペーパー「#Tag magazine(ハッシュタグマガジン)」内で、撮影を担当

福岡県太宰府市の、音楽好きな家庭で育った白木。

白木 「年の離れた兄が2人いて、兄や両親が毎週たくさんのCDを借りてくる家でした。中学生くらいになると、私がそのCDをダビングして、家族に配る係になりました。

小さい頃からパソコンをいじるのが大好きで、写真もよく撮っていたので、せっかくならと、デザインと呼べるほどではないですけど、パソコンに入っていたソフトでCDジャケットのようなものをつくって渡していました。それを渡して喜んでもらえるのがすごく嬉しかったです」

PCに没頭した中高時代を過ごした白木。高校卒業が近づくと、進学と就職の選択で揺れたといいます。

白木 「私はすぐに働きたかったんです(笑)。なぜかはよく分からないんですけど、働くのが好きなんですよね。でも親に説得されて、結局、長崎の短大へ進学しました。

だけど、やっぱり働きたかったんです。1年で単位を全部取り切って、バイトを2~3個掛け持ちしていました」

多忙な日々を過ごした白木の生活は、卒業後も大きく変わりませんでした。

白木 「卒業した後は、福岡に戻って雑貨屋の販売員をやったりしていました。とにかく働いてお金を稼ぐのが好きなだけで、『正社員になりたい』とかは全くなかったんです(笑)。

派遣社員で電話番として事務の仕事をしていた時期もありました。でもパソコン好きが影響して、いつの間にか電話番からデータベースの管理をする業務内容に変わっていましたね。

その後結婚し25歳で息子が生まれて、東京へ引っ越してきました」

それから2年ほど、専業主婦として過ごしていました。

「好きな仕事をして背中を見せよう」Webデザイナーへの挑戦

▲国立市での取材中に

白木 「おうちで主婦として過ごす中で、迷いがありました。もともと、働くのは好きなので『育児をしながら外で働きたい』とは思っていましたが、子どもを産んでから、働くことの意味についても考えるようになったのです。

今までのようにただお金を稼ぐのではなく、本当にやりたいことを仕事にしたいと。息子が大きくなった時に『子育てのためにお母さんが好きなことができなかった』と言い訳をしたくないって思うようになりました」

「楽しんで好きな仕事をしている背中を見せよう」と、子どもが2歳の時、働くことを決意します。

白木 「でもそれまでの私は、履歴書に書けるようなスキルもありませんでした。そこで『私のやりたいことってなんだろう』と考えた時に思い出したのが、小さい頃にパソコンをいじって、CDジャケットを作っていたことだったんです」

得意なパソコンを使うこと、写真を使うこと、それを生かせるWebデザイナーという職業があることを知った白木は、当時デジタルハリウッド大学にあった、半年間のWebデザインの講座に参加します。

白木 「一度体験に行ってみたら本当に楽しくて。その日のうちに受講を決めて、毎週土曜日に子どもを預けて学校へ通いました。家族に学費も出してもらっていたので、『半年で絶対なんとかしてやる』と思い、講師の方に通常の2倍の課題を出してもらったり、必死で勉強をしていました」

家事や子育てをしながら、寝る間を惜しんで勉強に励んだ白木。講座が修了を迎えた半年後、Webサイト制作の課題のもと、さまざまな企業関係者も集まる最終発表が行われました。

白木 「私が発表したのは、デジカメで撮影した写真をインターネット上でリンクを共有しながら、家族や親戚、友人と観られるようにするサービスでした。まだ当時はデジカメが主流で、でもわざわざ印刷する人が減ってきた頃だったんです」

発表の結果、白木は大手の某IT企業からスカウトを受けました。

白木 「頑張ってきたことが報われた気がして、本当に嬉しかったです。でも、デザインを教えてくれていたスタッフの方の会社で働くことを決めていたので、某IT企業からのお誘いは断り、その会社へ就職しました」

努力が実り、無事に就職を果たした白木。しかし、子育てと仕事の両立は簡単ではありませんでした。

白木 「Webの仕事は夜にシステムを更新することが多く、朝5時に仕事が終わる日もありました。そこから少しだけ仮眠して、また出社みたいな。そんな生活が4年ほど続きました。働かされていたというよりは、とにかく学んだことを生かせる仕事が楽しくて、頑張りすぎちゃったんです。

そうしたらある日、突然パソコンが打てなくなりました 」

「今日、仕事辞めてきました」新しい出会い

Webの仕事を辞めて、しばらく身体を休めながら過ごした白木。

白木 「体調も整ってきた頃、ふたたび派遣の仕事を始めました。同時に子どもの小学校でも、友だちのお母さんから、学校のポスターのデザインなどを頼まれるようになりました。

ポスターやチラシをつくるうちに、『紙の仕事めっちゃ楽しい!』と思うようになって。Webだとスマホやパソコン、画面の規格など相手の環境によって見え方に差がありますが、紙だと1つの決まったものがつくれます。

そして何より、依頼してくれたお母さんに完成したポスターを渡した時の喜んでくれる顔を見るのが嬉しかったんです。子どもの頃、家族にCDを渡した時の感覚と近いものがありました」

次第に「紙のデザインをしたい」と考えるようになった白木。

白木 「『覚悟を持ってやろう』と思い、会社を辞めてフリーランスになることを決めました。実績はほとんどなかったので家族にも反対されていましたが。でも『好きなことをやる』という想いがあったので、迷いはなかったです」

そして2018年、6月29日。退職したその日の夜に、府中市内で行われた地域のクリエイターが集まるイベント(しごとバー府中)へ参加しました。

白木 「自己紹介では『私、今日仕事辞めてきました。明日からフリーランスなので、よろしくお願いします』って挨拶しました。

そのイベントで登壇していたのがけやき出版の小崎社長だったんです。出版についてお話をされていて、当時の私は、まさか一緒に働かせてもらえるなんて、夢にも思いませんでした。

その後、TeiP BaR(当時定期的に開催していた、多摩エリアのクリエイターなどが集まるイベント)に参加し、2回目くらいから『人手足りないから、写真撮ってよ』なんて依頼を受けているうちに、気づいたら運営側になっていました(笑)。

たくさんの活躍するクリエイターの方々に会う中で、求められることに誠実に応える大切さを学びました。相手の考えをちゃんと受け止めてつくったものを喜んでもらえる瞬間が一番のやりがいだし、自分の成長のきっかけにもなると知れて、良い刺激をたくさんもらえていましたね。

そうするうちに、小崎さんから『けやき出版でデザインの仕事をしませんか』と声をかけてもらったんです。当時はデザイナーとして駆け出しだったので、『私でいいんですか?』とすごくびっくりしました。でも、求められている部分を伸ばしたいって思って。『頑張ってみよう』と決意しました」

大好きな仲間と、大好きな仕事を。

▲府中けやき並木イルミネーションの看板・ポスターをデザイン

けやき出版の契約社員としてデザインや撮影の仕事を続ける白木。

Webの仕事の経験を活かしてBALL. WEB MAGAZINEの運用を担当するほか、チラシやフリーペーパーのデザインも行っています。いつも妥協せずクライアントの期待に応え続け、現在では書籍のデザインや定期案件のディレクションも任されるまでに。

白木 「入ってから慣れるまでは、忙しい時期に徹夜で作業したこともありましたね(笑)。それでも続けてこられたのは、平田さんや國廣さん(けやき出版がお仕事を依頼しているフリーライター)をはじめ、一緒に頑張れる仲間がいたからだと思います。

昔はつらい時もずっと1人でした。孤独に先の見えない仕事をしていると、『なんでこんなこともできないんだ』と自分を責めてしまいます。

でもけやきに入って変わりました。だめなところもよしとしてくれるチームで、私これ実は苦手なんです、って言えるんです。弱みを見せられるというか。

お互いの苦手を補完しあって、『苦手なことでも、別の人にとって苦手じゃないなら、役割とか関係なく協力できれば良いよね』と言ってくれるチームで、本当に救われました」

けやき出版に入って、組織の一員として働くことの魅力に気づくことができたと語ります。

白木 「けやき出版では、一人では受けられないような、新しいことに挑戦させてもらえます。

そして何より、けやきのみんなと話していると本当に楽しい。刺激を受けるし、みんな自分以外の人のために動ける、とにかくいい人ばかりなんです。リフレッシュで一緒に呑みに行くとかも含めて(笑)。

今後もけやきのお仕事をやっていきながら、個人でご依頼いただける仕事も合わせてたくさん経験を積んでいきたいですね。

紙のデザインや撮影、あとは、私の住む府中でのお仕事もできたらいいなと思います」

──好きなことを仕事にする──

その実現のため、数々の苦労を乗り越えてきた白木。

今後も好きな仲間と、好きな仕事を続けていきます。

“多摩のまちとひとをつなげていく”ために、けやき出版は一緒に働く仲間を募集しています。(杉井)

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白木 春菜
けやき出版 編集部
主な分野:デザイン、撮影
好きな本:人生で大切なことは月光荘おじさんから学んだ(月光荘 産業編集センター)

白木に会いたい!


Photo:Jouji Suzuki